マンションが高く売れたら税金がかかるの?

1. はじめに
この記事では、「今住んでいるマンションを売って別のマンションを買いたいけど、マンションが高く売れると税金がかかるの?」という疑問をお持ちの方向けに、マンションが高く売れたときの税金について税理士が解説します。
結論からいうと、マンションが高く売れて取得費と譲渡費用を上回るときは税金がかかりますが、確定申告をして特例の適用を受けることで税金が0円になるケースもあります。
2. 税金の計算方法
マンションを売ったときの税金は、「譲渡所得」に税率を乗じて計算します。
譲渡所得は次の式で計算します。
売却額 ー (取得費 + 譲渡費用)
このうち「取得費」に含まれる主な費用は次のとおりです。マンションの購入費用以外にも取得費に含まれる費用があるので、拾い漏れにご注意ください。なお、取得費に含まれる実額が分からないときは売却額の5%を取得費とすることができますが、ほとんどのマンションの場合は実額で計算した方が有利です。
- マンションの購入費用のうち土地部分の値段
- マンションの購入費用のうち建物部分の値段から減価償却費相当額を引いた金額
- 購入時に不動産業者へ支払う仲介手数料、司法書士に支払う登記費用
- 不動産取得税、登記に必要な登録免許税
なお、「減価償却費相当額」は、建物の購入費用に0.9を乗じた金額に建物の構造に応じた償却率を乗じ(鉄筋コンクリート造の場合は0.015)、その金額にマンションを購入した年から売却した年までの経過年数を乗じて計算します。たとえば、鉄筋コンクリート造マンションの建物部分の購入費用が2,000万円で経過年数が10年だったときの減価償却費相当額は270万円です。
また、「譲渡費用」に含まれる主な費用は次のとおりです。
- 売却時に不動産業者へ支払う仲介手数料
- 売買契約書に貼った印紙のうち売主負担分
たとえば、10年前に買った鉄筋コンクリート造のマンション(土地価格1,000万円、建物価格2,000万円、登記関係費用と不動産取得税の合計額50万円)を5,000万円で売却し、売却手数料として170万円を支払った場合の譲渡所得の金額は2,050万円と計算できます。
3. 自宅マンションを売却した場合の特例
自宅マンションを売却した場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得から3,000万円を引くことができます。「一定の要件」のうち主要なものは次のとおりです。
- 売却年、売却年の前年・前々年のいずれも自宅売却の特例の適用を受けていないこと
- 売手と買手が親族関係などにないこと
- 確定申告書を提出すること
つまり、この自宅売却の特例を受けるのが初めてで、不動産業者に売却する場合は3,000万円の特例を受けることが可能ですので、譲渡所得が3,000万円までであれば税金が0円になります。この特例の適用を受ける場合は、税額が0円であっても確定申告が必要ですのでご注意ください。
また、10年以上居住していたマンションを買い換えた場合、一定の要件を満たせば譲渡益に対する課税を繰り延べられる特例もあります。
4. まとめ
以上、マンションが高く売れたときの税金について解説しました。
- マンションが高く売れて取得費と譲渡費用を上回るときは税金がかかるのが原則
- 譲渡所得が3,000万円までであれば確定申告をすることによって税金を0円にすることが可能
の2点がこの記事のポイントです。
安藤正三(あんどうしょうぞう)
税理士事務所代表。個人の税金(所得税や相続税)を得意としています。税金の「困った」を「分かった・助かった」にできるよう日々活動しています。