リノベーション済マンションの賢い選び方~そのマンション、配管交換してますか?~

はじめに
昨今供給量が増えている「リノベーション済中古マンション」。
築年数の古いマンションでも、壁紙や床だけでなく、キッチンやお風呂などの設備も新築同様に交換されていることから、人気が高まっています。
しかし、きれいに張り替えられた床の下の配管はどうでしょうか?
①配管の寿命は何年?
鉄筋コンクリートの建物の寿命は、定期的に適切な修繕を施すことで100年を超えると言われています。
一方、毎日使用する給排水の配管は建物よりも寿命が短いため、適切な時期に交換する必要があります。共用部分の配管は管理組合で修繕しますが、専有部分の配管は区分所有者が維持・修繕していくことになります。
しかし、配管は壁の裏や床下に配置されているため、問題が発生するまで劣化が見えにくいもの。マンションで使われている給排水管には下記のような種類があり、種類によって寿命が異なります。
○亜鉛めっき鋼管
- 金属製のためさびやすい。
- 寿命は15年~20年ほど。
- 配管内面が腐食し、赤水や漏水などの問題が発生。
- 1997年のJIS改正により上水道配管には使用禁止。
○硬質塩化ビニルライニング鋼管
- さびにくい。
- 寿命は15~30年ほど。
- 現在最も多く使用されている。
- 配管内面の腐食問題は解消されたものの、管と管をつなぐ材料に課題あり。
○ステンレス管
- さびにくい。
- 寿命は半永久的。
- 共用部分の配管に採用されるマンションが増加。
○硬質ポリ塩化ビニル管
- 非金属製でさびにくい。
- 寿命は50年以上。
- 専有部分のリフォームでは、さびない樹脂製の配管がおすすめ。
通常配管は床下に配置されているため、工事の際は床を剥がす工事が必要になります。
そのため、検討しているマンションで使われている配管の寿命が30年より短い場合は、フローリングの貼り替え工事の際に交換してしまうのが効率的です。
②占有部分配管交換済みの物件を選ぶ
建物を建築する際には設計図面などを役所に届け出て許可を得たり、建築基準法に適しているか検査を受ける義務があります。
一方、マンションのリノベーション工事は、そのような届け出義務や検査もないため、杜撰な工事が見逃されやすい環境にあります。
リノベーション済物件のなかには、築30年以上の物件であっても工事の際に占有部分の給排水管の交換をしていないものがあります。
そうなると、せっかく張り替えた床を数年後に剥がして工事することにもなりかねないのです。不動産業者が売主の場合、給排管のトラブルについては売主に瑕疵担保責任があります。宅建業法で定められたこの責任期間は、新築物件が10年間であるのに対し、中古物件は最低2年間と短いのが実情。入居して5年後、10年後のトラブルについては補償対象外となってしまうことが多いのです。
購入した物件に10年以上住みたいと言う場合は、2年の保証期間では心許ないですよね。
そもそも配管の交換はリノベーションの時にやってしまうのが効率的。
自分でマンションを購入してリフォームする場合は配管の交換をあらかじめ工事に組み込むことができますが、リノベーション済マンションでは壁紙や床が張り替えられており見た目ではわからなくなっています。
工事内容まで確認し、配管の交換がなされているかをチェックしましょう。
③まとめ
価格の面で魅力的なリノベーション済マンションですが、築年数の古いマンションを検討するときは気をつけるべきことがいくつかあります。
配管の状態は見学するときにはわからないため、工事の内容をしっかりと確認しておくことが大切です。
Misato
2002年から関西の不動産会社にて築浅マンションから高経年マンションまで取引を経験。中古+リノベーションでライフスタイルにぴったり合わせた住まいの提案を行ってきました。
現在は名古屋市在住で、不動産ライター歴4年です。